#entry-99 リノベーション COCO
室戸岬の先端に誕生した観光スポット「COCO」

長年使われていない建物を
観光客が気軽に立ち寄れる観光スポットに…
今回の依頼は、「長年使われていない建物を利用して、室戸岬に人が立ち寄れる場所をつくりたい」というもの。室戸岬は高知県内でも有数の観光スポットとして知られる名所ですが、周辺に観光客が立ち寄れるスポットがほとんどないというのです。
ホテル業と二足の草鞋を履く
覚悟をした千頭夫妻
そんな室戸岬に新たな観光スポットつくろうと立ち上がったのは「岬観光ホテル」の千頭夫妻。夫妻は観光業の第一線で旅行客に関わりながら、閉店してゆく岬内の同業者を横目にやるせない思いを抱いていました。そして、「誰もやらないなら私たちがやる!」と一念発起。ホテル業と二足の草鞋を履く覚悟をしたのです。
場所は違えど地元を
想う気持ちは私も同じ!
私もそんな千頭夫妻の想いに応えようと一丸となって改装計画に携わりました。「岬観光ホテル」の改装工事に携わるなか幾度も酒を酌み交わし、千頭夫妻の室戸への熱い想いは痛いほど感じていましたから。それに、場所は違えど地元を想う気持ちは私も同じ。
空き物件の場所は
観光地のど真ん中!
お店にしたいという空き物件は、以前は観光案内所に使われていたという、コンクリート造りの平屋建て。西隣に中岡慎太郎像を見上げる、室戸岬の国道55線沿いにあって、前にはバス停、隣には公衆トイレがある観光地のど真ん中です。
空き店舗になっているのが惜しいくらいの好立地で、ここを放置しておくのは確かにもったいない…
しかし…
ここにも自然保護地区内で、
法律の壁が立ちはだかり七転八倒!
ですが、「岬観光ホテル」同様に、ここも自然保護地区内にあるため、法律の壁が立ちはだかり、大掛かりな改修工事は許されません。
どうしたらここをお店らしく見せられるのだろうか…、観光客が気軽に立ち寄りやすい雰囲気づくりには何が必要か…。
通りすがりの人の目に止まり、
店の外から中へが流れるような
動線をつくるには…
そうして私が提案したのは、店の外と中が連動して人が流れるような動線づくり。
通りすがりの人の目に止まるよう、店の表にテーブルとパラソルを設置し、そこで食事をする人たちが人を呼ぶような仕掛けでした。
着工の数日前、
私たちに起こったサプライズ!
それから幾度か打ち合わせを繰り返して迎えた着工の数日前、私たちに大きなサプライズがありました。元々、建物が白色だったこともあり、「ホワイトハウス!」をイメージして計画を進めていたのですが、大家さんの好意により、ある日、変貌を遂げたのです。
千頭夫妻がこの建物を借りることを決めた後、大家さんが好意で外壁を塗り直してくれるというので「それはありがたい!」と、お任せをしていたのですが、外壁塗装を終えた建物は、想定外のライトグリーン…
ホワイトハウスがある日、
トロピカルメロンハウスに…
「ホワイトハウス…のイメージからのトロピカルメロンハウス…」、ん~どうしよう…(。-ˇ.ˇ-。) 少し頭の切り替えも必要ではありましたが、その想定外も追い風と捉え、「太陽さんさん室戸岬先端にハッピーな憩いの場を!」をテーマにイメージチェンジ♪
私達は前向きでした(笑)
テーマカラーは
メロンの皮の「エメラルドグリーン」と
果肉の「淡いオレンジ」
内装もメロンの皮のエメラルドグリーンと、果肉の淡いオレンジ、そこに海の淡いパープル色でレイアウト。結果的に、千頭夫妻の好きなハワイアンムードが演出でき、異国情緒を感じる造りに仕上がりました。
観光地だから閉店時も絵になるように。
江戸時代に使われていた閂止めを採用!
また、千頭夫妻が多忙なこともあり、お店の営業は週末限定。閉まっていることが多いため、閉店時も絵になるような店構えにするため、入り口に江戸時代の蔵に使われていた閂(かんぬき)止めを採用。台風対策とパフォーマンスを兼ね備え、あえて重々しい木の扉を設置したのです。
私たちにとっても貴重な経験に…
建物のみならず、「室戸岬」という観光地全体のシチュエーションも織り込んで進めた今回の改装計画は、今までにない経験を私達に与えてくれました。この店舗がきっかけになり、千頭夫妻の活動を応援してくれる人達が一人でも増えることを願うばかりです。
「ここを存続させたい」
という想いを伝え棟梁に全てを委ねた
ホテル業の傍ら、ジオパークのガイドをしていたこともあって、常日頃から「飲みものが飲める場所がほしい」「ランチができるお店がほしい」「ゆっくり座れるところがほしい」と、お客様からたくさんの要望をいただいていました。
腹を決めて手はずを整え、
棟梁に相談して…
しかし、新しいお店をつくるどころか、周辺の施設は閉業していく一方で、誰も手をあげません。それなら私達がやろうと腹を決めて手はずを整え、棟梁に相談を持ちかけました。私たちがつくりたいのは、観光ガイドとお客様の待合の場所として使えるようなカフェ。そしてそこには室戸らしいお土産も置きたい、と。
「プロやから任せたら間違いない!」
私たちの想いを全て伝えると、あとはいつも通り、信頼して棟梁にお任せです。「プロやから任せたら間違いない!」と信じてますから。それからは、棟梁の提案で外のテーブルに立てるパラソルを購入し、古びた空家から少しずつ変化していく姿に想像を膨らませながら、完成を待ちました。
私たちの好きな
ハワイのムードが漂うカフェに
そして、私たちの好きなハワイアンムード漂う異国情緒たっぷりのカフェへと進化を遂げたのです。当初はホワイトハウスをイメージしていましたから、大家さんがメロン色に塗ってくれたときはショックでしたが、そのメロン色を効果的に生かしてくれて、お客様からは「かわいい」と好評をいただいています。
また一人、また一人と
お遍路さんや観光客が「COCO」に来る
観光地ですから、シチュエーションが大切です。外にテーブル席をつくったのは大成功で、外のテーブルでお客様が食事をしていると絵になるんです。それにつられるのかように、また一人、また一人とお遍路さんや観光客が立ち寄ってくれて狙い通りです♪
店名の「COCO」には「ここが室戸岬の先端です」、そんなわかりやすいメッセージ性を込めています。室戸岬へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。